2012年8月5日日曜日

ヤフー傘下に租税回避指摘


朝日新聞朝刊 2012年4月1日

ヤフー傘下に租税回避指摘
東京国税局 ヤフー側は提訴

インターネット検索大手・ヤフーの再編に絡み、完全子会社「IDCフロンティア」(IDCF、東京)が、会社設立時に約100億円を「のれん代」として損金の対象にした処理について、東京国税局が租税回避に当たると指摘したことがわかった。企業再編税制(*)に基づく処理だが、同局は制度の乱用と判断した。

同局は、約100億円のうち既に損金算入した約23億円について申告漏れを指摘し、過少申告加算税を含め約6億円を追徴課税した。これに対しIDCFは東京地裁に提訴。ヤフーは取材に「訴訟中なのでコメントできない」としている。

ヤフーの再編に絡んでは、同局が2010年にも約540億円の申告漏れを指摘し、ヤフーは提訴。企業再編税制をめぐる課税の基準は明示されていない。

関係者によると、IDCFは09年2月、データセンター事業「ソフトバンクIDCソリューションズ」(IDCS、東京)から営業部門を分割し、設立された。IDCFには時価純資産として約14億6千万円が移転され、IDCSには対価として評価額115億円の株式が交付された。

IDCFは企業再編税制の下、差額約100億円について、会社のブランドカや将来性などを表す「のれん代」と算定。税制上5年で償却されるため、09年3月期の2~3月分と10年3月期1年分の計約23億円を損金算入し、その結果、2期とも赤字になった。

東京国税局はIDCF設立後の取引に着目。ヤフーは09年3月にIDCSを吸収合併したが、その直前にIDCSからIDCFの全株式を買い取っていた。のれん代を計上するには、IDCSとIDCFの完全親子関係が解消される見込みであることが条件。同局は、IDCSからヤフーへのIDCF株の売却は不合理で、この条件を満たすのが目的だったと判断した。
(浦野直樹)

(*)企業再編税制
企業の合併や分割を促し、国際競争力を高める目的で導入された。一定の要件の下なら資産を簿価で移転することを認め、所得が発生しないため事実上非課税になる。要件から外れる場合は通常の売買取引と同様。移転された時価純資産価額と取得対価との差額は、会社のブランドカやノウハウ、将来性の価値にあたる「のれん代」となり、損金算入できる。


ちょっと古い記事だけど、これも本職関係の備忘。
「のれん」とは「営業権」のこと。
この件の場合、

のれん代を計上するには、IDCSとIDCFの完全親子関係が解消される見込みであることが条件。同局は、IDCSからヤフーへのIDCF株の売却は不合理で、この条件を満たすのが目的だったと判断した。

というところが争点でしょう。

以上、本当に備忘のみ。




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