2013年11月10日日曜日

古川日出男、読書メモ

以前に『ベルカ、吠えないのか』を読んで感心したので、
ずっと気になってた諸作品を一気読み。






   


『ベルカ…』は本当に面白かった!
古川日出男はこれが初体験だったんだけど、
「癖のある独特の文体」も気にならなかった。
イヌの物語として、ハードボイルドっぽい雰囲気を楽しんだ。
構想が素晴らしく、圧倒的にこれがベスト。


で、数年後に図書館で偶然であったのでこれを読む。
音楽に関係あるはなしかな、と思って。


   


結果的には、音楽とは関係がない。
というか、音楽がなくなっていく状況を逆説的に示しているのが
「サウンドトラック」という」タイトルなわけだ。

ただ、どんな音楽を聞いても音楽として認識できない主人公のエピソードがあって、そこの描写は少し面白く思ったので今度引いておこうと思う。

で、ド本命。

  


  

猫の話としてスゴイらしいので『MUSIC』を読みたかったんだけど、
『LOVE』の続編らしいので『LOVE』から読む。

で、3冊ぶっ続けて読んだ感想。
……うーん、文体に飽きてきたなあ。
『ベルカ…』はこの文体がピッタリだと思うんだけど、
さすがに全部これだとちょっとキツイ。
体言止めって、乱用されるとうるさく感じるなあ。

『LOVE』と『MUSIC』は、
古川日出男自身の愛猫の死と関係があるらしい。
古川日出男は、『MUSIC』を
「その猫の、最後の生命を駆けさせるために、疾走させるために、この作品を奏でた」らしい。
その気持ち、よくわかる。

最後に、これだけは記しておきたい。
『MUSIC』の奈良美智の解説は不要。
完全なる蛇足。
やや揶揄されて描写される登場人物のJIってのは、奈良美智をモデルにしているのだろうか?
だとしたら、あえて本人に小学生の読書感想文レベルの解説を書かせて、
その浅はかさや凡才ぶりを暴露させようとしたのだろうか。
そんな下衆の勘ぐりをしてしまうほど、この解説は無駄です。


2013年9月6日金曜日

『とんでもねえ野郎』、杉浦日向子、ちくま文庫、1995年

  


杉浦日向子の『百物語』は文句なしに面白かった!
ので、このマンガも手にとってみた。

まあ、特にあれこれ言うことないです。
面白かったです。

どんな時代でも、こういう男がいると安心するね。
杉浦日向子の他の江戸ものを読んでみたいね。

このマンガも職場近所の町立図書館にあったんだよなあ。
素晴らしいです。

2013年9月3日火曜日

『猫楠 南方熊楠の生涯』、水木しげる、角川文庫ソフィア、初出1991-92年

水木しげるによる南方熊楠の生涯のマンガ化。





  



巻末には水木しげると中沢新一の対談、
他に荒俣宏と中沢新一の解説文も収録。
まさに変態の競演。

当時の水木しげるは『ゲゲゲの女房』のブレイク前。
老いても作風を曲げずにこういう作品を書いてたのは心強い。
やはり続けることは大事。

昨日の丸尾末広と同じく、
この本も勤務先の近所の町立図書館に置いてあった。
公共図書館の素晴らしさはこういうところにある。


以下、荒俣宏の「解題」より。

『猫楠』とは、これまたなんとすばらしい迫り方だっただろうか。熊という語は、あまりにも民俗学的な意味を担いすぎていて、熊楠自身、ときには気楽に生きたいと思うこともあったろう。ハメが外れたときのクマグス、そこに彼の人格の愛らしさ、おかしさがあった。それを「猫楠」なるタイトルに象徴させたところなどは、まことに心憎い構成である。

 また、そのすてきな題名と同時に水木さんが選び出したのが、リテレートなる心躍るキーワードだった。日本では久しく聞かなかったこの語は、<民間学者>をあらわし、<文士>を意味する。それもただの学士や文士ではない。飯の心配にわずらうことなく、学に遊び、しかも人に敬愛の上を抱かせずにおかぬ者。これならば、ややもすると独善の匂いをただよわすエキセントリックなる語よりも、ずっと熊楠の本質を衝いている。もちろん、理と識の妖怪は世界の諸相を理解するのではない。はじめから知っている(リテレート)のだ。これぞ<脳力(リテレート)>と断じてよい。ミズキさんが描いたのは、そういう妖怪のなつかしい生涯なのである。

この「リテレート」は、「ディレッタント」とか、
フランス啓蒙時代の「フィロゾーフ」と比べてみたいキーワードでもある。
以後の課題。



『パノラマ島奇譚』、丸尾末広、原作江戸川乱歩、2008年


今更だけど、漫画家としての丸尾末広は初体験。
    






















出版社がエンターブレイン、コミックビームから出てるってのも納得。
2007年~連載、2008年出版というのもすごい。
そしてこの本が勤務先の町立図書館においてあるというのもすごい。
佳作です。


2013年8月17日土曜日

『エヴァ Q』、『宇宙ショーへようこそ』。



















ずっと気になってた『エヴァ Q』を観る。


 

エヴァ信者ではないが、
それなりにエヴァンゲリオンは同時代人として楽しんだ。
今でも『END OF EVANGELION』は名作だと思うよ。

でも、この『ヱヴァQ』はダメ。
ダメというかがっかり。
『序』、『破』、『Q』で終わるはずじゃなかったのかよ…
新設定とか新キャラとか出すならわかりやすく提示してくれよ…
…とか、ファンにとってはいまさらなことだろうけど、
ついていけなかったなあ。

エヴァは内容ではなく、演出を楽しむもの。
そのことをはっきりと認識できました。
そう考えると、
はじめの30分の戦闘シーンとかはカッコよかったかな。

個人的に一番よかったのが、
冒頭の「巨神兵東京に現わる」。
特撮オタクの庵野秀明らしいこだわりが炸裂。
あくまで巨神兵はナウシカの巨神兵なんだけど、
『エヴァ Q』がサードインパクトと
フォースインパクトをめぐる話ということもあり、
巨神兵がエヴァ、又は使徒にもみえてきて面白かった。
舞城王太郎の「言語」もよかったなあ。
冒頭の赤地のジブリクレジットも含め、カッコよかったです。



で、いつもレンタル店で目にしながら見送り続けてきた
『宇宙ショーへようこそ』を観る。




 



悪くないけど、もっと毒っぽさがほしかったかな。
なにやら娘は楽しんでたけど。
そういえば、『R.O.D.』もOVAとTVシリーズ両方観たけど、
今ひとつハマるところまでは行かなかったなあ。
設定は面白いと思ったけど、
もう一歩毒素というか狂気がほしかったです。

一つ面白かったのは、
子どもたちが宇宙パスポートをもらうための問題。

「宇宙人がやってきて、その宇宙人が自分の星の科学力で
 『地球人を賢くして、すべての問題を解決できるようにしてあげる』と言いました。
 あなたはその提案に従いますか? YES / NO」

だったかな。
これ、NO、「自分で解決するほうが楽しい」が正解なんだよね。
安易な植民化を防ぎ、
星間の対等条件による交渉を普及させるためかな。

調べてみると、公開は2010年。
『サマーウォーズ』は2009年なのに、
『宇宙ショーへ~』の方がずっと前のように感じました。

2013年8月16日金曜日

舞城王太郎と沼田まほかる。

充電期間は続く。

読もう読もうと思っていた本を読む。


舞城王太郎/『ディスコ探偵水曜日』(上)(中)(下)



まず最初は景気付けにこの饒舌な作品から。

文庫本にして3冊分、合計で実に1,500頁!
表紙からしてラノベだけど、内容も表紙を裏切らずラノベ。

しかし、ミステリを乗り越える強い意志を感じるし、SFだったりハードボイルドだったりして、ジャンル分け不可能だね、これ。

読んでる間は楽しかったのでこれはこれでOK。

でも、推理合戦の(中)は読んでてちょっと辛かった。
そうそう、途中で島田荘司の『占星術殺人事件』について
軽く「名作」と触れているところがあって、
そこはちょっと嬉しく思った。


    

で、次は小説っぽい小説を読む。

沼田まほかる/『痺れる』

いやあ、痺れました。
中年女のねっとりとした情念を描かせたら最高です。
読んでて嫌な気持ちになりさえする。
しかし、それはそれだけの力量があればこそ。
次回作も読みたい作家です。



そうそう、この本の奥付に、自炊に関する以下の文言があった。

本書の電子化は私的使用に限り、著作権法上認められています。ただし、購入者以外の第三者による電子データ化及び電子書籍化は、いかなる場合も認められておりません。

これは光文社の定型みたいで、
文藝春秋と講談社は以下のとおり。


文藝春秋 
本書の無断複写は著作権法上での例外を除き禁じられています。購入者以外の第三者による本書のいかなる電子複製も一切認められておりません。

講談社 
本書のコピー、スキャン、デジタル化等の無断複製は著作権法上での例外を除き禁じられています。本書を代行業者等の第三者に依頼してスキャンやデジタル化することはたとえ個人や家庭内での利用でも著作権法違反です。

確認する前に既に自炊してiPadで読んでるんだけど…。
自炊に関して、出版社も意識してるってことですね。


BATIC を受けよう。

思うところあり、12月のBATICを受験することにする。

以下、テキストを列挙。

《 subject 1 》

     

公式テキストではないけど、このTACテキストで大丈夫でしょ。

《subject 2》

subject 2はちょっと手強いらしい。
なので、正攻法で挑む前にざっと概観。




それから公式テキストと過去問題集で一気に詰める。
subject 2に関してはTACから最新版テキスト出てないみたい。

  

それにしても、近所の図書館に英文会計のこの本があってよかった。
とりあえずこの本を早いうちに読んでおこう。

『風立ちぬ』鑑賞。

『風立ちぬ』を近所の映画館で観る。




















ジブリなので、何日も前から予約しないと無理じゃないか?
と思ったけど、当日予約でラクラク中央席をゲット。
シネコンなので『ワールド・ウォー Z』なんて
2つのスクリーンでやってるのに、
『風立ちぬ』は1スクリーンだけ。
わたしの観た回も結構席空いてたなあ。
お盆だったからだろうか。

感想は、とにかく「中途半端」。
なんか、メディアの紹介などでは、
「自分の理想/職業が戦争の道具に利用されることの葛藤」が
大々的にクローズアップされてたように思うけど、
特にそんな印象は受けなかった。
妻の身体を犠牲にしながらの夫婦愛も、
物語のスパイス程度に使われただけ。

結局、宮崎駿の趣味に付き合わされただけのような気が…。
いや、
監督は自分の映画の責任者なわけだからそれでいいんだけど、
それなら『紅の豚』のように、もっと露骨にやってほしかったなあ。

しかし、予想外に庵野秀明の声が役に合ってて驚いた!
はじめは、
『耳をすませば』の立花隆(雫のお父さんね)ばりの
違和感に吹き出しそうになったけど、
ずっと聞いてると、
「育ちがよくて、世間知らずで、
本質的なところでは他人の言葉に耳を貸さない」という
性格にピッタリだった。

あとは、ユーミンの「ひこうき雲」がよかったなあ。
音楽としては『魔女の宅急便』ほどのハマり曲ではないけど、
歌詞の内容としては『風立ちぬ』と少しかすっている、か。


ジブリの作品、特に宮崎駿が手がけた作品は、
その前後の「非宮崎駿」作品(特に高畑勲作品)と
対にして考えるべき、というのがわたしのスタンスなので、
内容については、
今秋の『かぐや姫の物語』を観てから考えたいと思う。
わたしの予想では、
「自己献身的な菜穂子」と「傍若無人なかぐや姫」とか、
「理想を追い求める心」(『風立ちぬ』)と
「目的のためには手段を選ばない現実感覚」
(『かぐや姫の物語』)あたりの
対比になりそうな気がするんだけど。


2013年8月15日木曜日

8月は充電期間。

仕事とプライベートが一息ついたので、
大急ぎで文化的な充電を試みる。

物理的にも、精神的にも整理を行うことができるのは、
仕事の都合上8月しかない。
そんなスケジュールがもう数年続きそう。

とりあえず、「ほしい物リスト」の棚卸から。




ここにきて、ジョジョ人気がすごい。
20年前から読み続けてきた人間からすると
「何を今さら…」という感じだけど、
世間に認められるのは、1人のファンとしてもうれしいです、はい。


それと、次に楽器関係。




友人から借りてるテナー、少しは触ってあげようと思う。
というか、人前で吹いて聞き苦しくない程度には
吹けるようになりたいかな、と。
テナーはどんな音楽にも広く対応できるのが素晴らしい。



2013年6月23日日曜日

荒木飛呂彦 ☓ 千住明 

NHK スイッチインタビュー、荒木飛呂彦 ☓ 千住明 を興味深く観た。

中でも、Sttel Ball Run 制作のときのBGMがパット・メセニーだった、
というところが面白かった。
これまでの荒木の嗜好からすると意外な気もするが、
アメリカのロード・ミュージックということを考えると、
妙に納得。


あと、荒木飛呂彦の声はカールスモーキー石井に似てる。



2013年1月5日土曜日

iPhone 5の壁紙。

iPhoneを、「4」から「5」にしたので、壁紙も一新することにした。

今回のテーマは、「ジョジョ」。
ジョジョは中学の頃からずっと好きだったので、
もうかれこれ20年以上の付き合いなのだ。


ロック画面はこれに即決。




デザイン的にとても優れているし、
何より、「TO BE CONTINUED」の矢印が、
元ネタの逆にしてロック解除のスライドの方向にしてあるのが素晴らしい。
ただ、欲を言えばこの矢印は右寄りでなく、
中央のほうがバランス的に安定してるかも…。





ホーム画面第一案。
これもデザイン的に優れている。
ただ、わたしがそんなにDIOのことが好きではないので変更。
いや、アイコンが表示されても見やすいんだけどね。

上の2つは、

【i-phone】 ジョジョの奇妙なアイフォン壁紙 からいただきました。



で、ホーム画面決定案。


やっぱり花京院でしょ。
花京院は、ジョジョ全シリーズを通してわたしが一番好きなキャラです。

これは、 【壁紙】ジョジョの奇妙な冒険の画像  からいただいたんだけど、
このデッサンは西尾維新の『OVER HEAVEN』に掲載されてたものみたい。
他に花京院のいいデッサンまたはカットないかな。


調子に乗ってPCの壁紙も変更。







画面いっぱいにするとサイズが合わないので、
背景を黒地にして、画面中央に配置。
花京院がいると思うと、PCに向かうのが楽しくなるなあ。

そういえば、アメトークの「ジョジョの奇妙な芸人」で、
しょこたんは花京院のことを「花京院様」と呼んでた。

たしかに女の子ならそう呼びたくなるかもね。





2012年11月15日木曜日

「痴話げんかで止めておけ」 竹島問題への岩井志麻子のコメント。


朝日新聞朝刊、2012年9月19日より。
少し古い記事だけど、感心したので引いておく。

「痴話げんかで止めておけ」  岩井 志麻子さん 作家


こないだ韓国の新聞に「極右作家」って書かれたんです。「竹島は日本の領土でしょ」って、当たり前のことを言っただけで。極右って、あなた。私もちょっとびっくりですよ。

確かに、私の携帯電話の着信音は君が代で、メールは同期の桜。韓国の空港でわざわざ鳴らして「ほら、チョッパリ(日本人への差別表現)って呼んでみろ」ってけんか売ってますけどね。みんな聞こえないふりしてますよ。関わらんどこ、みたいな感じで。自分でも何がやりたいのか分かんないんですけど。

そんな私ですが、夫は韓国人です。29歳の。普段、私は東京、夫はソウルに住んでいます。で、どちらの家でも犬を飼ってるんですが、こないだ離婚したら犬をどうするか、みたいな話になったんですね。ちなみにソウルの犬を私は「竹島」、夫は「独島(トクト)」と呼んでます。

夫が言うにはソウルの道端で拾った犬だし、面倒を見てるのは自分だから僕のだ、と。でも私にしてみれば、ソウルの家賃を払って餌代出してるの誰だって話ですよ。東京の家も私の名義だし、光熱費から何もかも私が払ってる。なのに家の中ではチャンネル権から何から優先権はすべて夫にあるんです。

だいたいね、私が本気で怒ってライフライン止めたら、あやつは路頭に迷いますから。トッポギだって食えなくなるんです。それを犬も家も実効支配、いや不法占拠しとるんです。

でもそこで、本気でけんかして「竹島ちゃん」の領有権を争ってどうなるんか、って話なんです。わんぱく相撲で力士が子どもを張り飛ばしたって、あいつは強いなんて誰も言わない。力が上の者がうまく負けてあげることが大切だし、その方が格好いい。「愛国じゃ、愛国じや」って言って、本気でけんかして、戦争なんてことになっても誰が得するんですか。

日韓関係は、夫婦みたいなもんです。「嫌い」って一生懸命に叫んでる人がいますが、叫ばずにいられない、叫ばざるを得ない、そんな気持ちの強さは愛以外の何ものでもない。トリニダード・トバゴが目障りでかなわん、なんて人はおらんわけで。痴話げんかはするけど本気ではやらない。「なめんなよ」とは言うけど、すぐにカチ込みはしない。夫婦関係も隣国関係も、そういう約束の上で成立しているものでしょう。
 
そもそも、よその国をおとしめて自国を愛するという愛国心は、ようないと思いますよ。あなたの国は良い国ですね、うちの国も良いですよ、と言った方が、母国の良さが相手に届くでしょう。それこそ真の愛国じゃないですか。よその国を尊重する気持ちがない人は、愛国者を名乗っちゃいけんのじゃないですかね。

(聞き手・秋山惣一郎)


いいなあ、岩井志麻子。

サイバラさんのマンガの数々のエピソードで好きになったけど、改めて好きになりました。

何か伝えたいことがあるとき、
それを真正面から論理的に述べるのが定石。
でも、論理ではうまく伝えきれないことがあるときは、
比喩や物語を使って説明した方が効果的なこともある。

そもそも小説や神話というのはそのためにある。
人がうまく言語化できない考えや感情を表現するメディアで、
その意味で岩井志麻子ってやっぱり作家だったんだなあ、
と深く感心しました。


あと、本人の経歴紹介の欄の、
「ウィットに富んだ下ネタが好評でテレビ出演も多数」もいい。
この紹介のされかたは、本人も満足なことでしょう。


2012年9月2日日曜日

「障害ある子の育児に疲れ」 /岡田斗司夫の人生相談が素晴らしい。

朝日新聞 8月25日 be「悩みのるつぼ」(人生相談)

岡田斗司夫の人生相談があまりに素晴らしかったので引いておく。

「障害ある子の育児に疲れ」 母親30代
私は30代の愚かで冷酷な母親です。一人っ子は知的障害児で、言葉はほとんど理解しておらず、自分でできることもほとんどないため、生活上の介助は私が行っています。

私は小さいときから見えっ張りで優秀な人間でいたかったため、勉強や運動、スタイルに至るまで努力してトップの位置にいました。人に負けたことはほとんどなく、だから「この私」からこのような子供が生まれ、育てなくてはならないなどと夢にも思ってませんでした。私にとって初めての「敗北」です。

生まれて以来、周囲にお願い事をすることが多く、頭を下げることが嫌いな私は「なぜ私が気を使わなければいけないのか」と腹立たしく、我が子に対し「この世からいなくなってしまえばいい」とさえ思います。

子供は睡眠障害の傾向もあり、体調もくずしやすいなど気を抜くことができません。私自身の体調も悪く、生理も1年ほどとまっています。

つらい状態を夫や親に訴え、精神的、物理的な協力を求めても、言い方が悪いのか「愚痴が始まった」程度にしか思わないようです。現状に弱り果て、すぐにでも失綜してしまいたいです。子供の世話や子供を取り巻く環境から距離を置き、明るく健康に生活するにはどうしたらよいでしょうか。私のようなどうしょうもない母親に頂ける助言はないものでしょうか。


「失踪して仲間と会いましょう」 評論家 岡田斗司夫

あなたは「愚かで冷酷」じゃない。「正直で冷静」なだけです。

私も育児経験があります。特に問題なく健康に育ってくれましたが、そんな育児ですら「もう逃げたい」と思ったことが何度もありました。だからあなたの感じだことは間違いじゃない。

そんなあなたは、実はすでに正解に行き着いています。

「自分が明るく健康に生活するには」「子供の世話や取り巻く環境から距離を置く」ことが必要で、だから「今すぐに失綜してしまいたい」。

ね? これがあなたの望みであり、同時に現状の打開策です。「失綜」でコンセプト的には大丈夫。工夫すべきは、方法と手順です。

まず期間。1週間が妥当でしょう。3日間では残された家族が抜本的な手を打たず、やり過ごせてしまいます。

次に方法。いきなりはダメ。数日から1週間の事前告知期間を置きましょう。

「もう限界なので、これから毎月1週間、私は一人旅に出ます。第1回は今度の土曜から来週金曜夜まで。子供の世話をどうするか、あなたたちが自分で考えて下さい」と宣言します。

あなたがいなくなったらどうするか、「本気」でシミュレーションさせましょう。その時はじめて、あなたの周囲の人たちも、生理も止まってしまうほどのつらい状祝を「自分ごと」として認識してくれるでしょう。

注意点は「単なる脅しだろう」と見くびられないこと。だからこそ、第1回の失綜は必ず実行してください。でないと「単なる待遇改善の脅し」と受け取られて終りです。家族たちも、なにも学べず成長もできません。

さて「失綜」してる間はどうしましょう?

映画を見たり、ショッピングをしたり、久しぶりに友達に会ってみる。

楽しそうですね。でも一番のお勧めは、「同じ障害児を持つ母親たちに会ってみる」です。

彼女たちも例外なく、あなたと同じ苦しみやストレスを抱えています。あなたの「プチ失踪」の冒険談を話してあげてください。悩みをシェアし、同じ方法をとれない「仲間」のために代案を考えてあげましょう。

あなたの「失綜」計画は、あなた1人のワガママのためじゃない。家族や同じ境遇の「仲間」たちを教え導くための旅なんです。2~3日ぐらいなら、私の家に泊めてあげますよ。成功を祈ります。



質問にも、回答にも、何も付け加える言葉がありません。
岡田斗司夫、素晴らしいです。
『オネアミスの翼』で心を震わせたのは間違いじゃなかった。


2012年8月28日火曜日

『進撃の巨人』(8)、諫山 創

新刊購入。


「このマンガを読め! 2011」で高く評価されたこのマンガも早8巻目。


半ば惰性で買っていたけど、ここに来て急展開。
面白くなってきました。


思えば、「これが'00年代の少年漫画だ!」という帯のアオリ文句もそれほど大げさではなかったか。


それにしても、ブログ記事を振り返ってみると、
なんかマンガばっかり読んでるなあ。


2012年8月26日日曜日

『資本主義が嫌いな人のための経済学』、ヒース、山形浩生訳

不勉強な左派と図に乗った右派の両方をくさし、経済学の価値を認めるべきところでは認めろと主張するえらい本。

2012年3月18日 朝日新聞朝刊

2008年金融危機に始まる世界不況、さらには震災後には特に、「資本主義はもう終わり」みたいな物言いを無数に見かけてきた。これは特に左派に多いし、その人たちは資本主義の理論的根拠(と思っている)経済学も破綻したと言いたがる。

でもそのほとんどは、実は経済学の主張をろくに知らず、自分の主張も考え抜いていない。そしてその無知と怠慢につけこんで、現状維持の保守派が乱暴な議論をしても反論できず、おかげで万年負け犬の地位に甘んじている。

それじゃダメだ。資本主義のダメな現状を改善したいなら、左派もちゃんと勉強しようぜ、というのが本書だ。

というわけで本書は、筋金入り左派哲学者による、むずかしい綱渡りだ。経済学を濫用して既成体制の走狗と化した一部論者には鉄槌を。しかし優しさとか友愛とか、無内容なお題目を垂れ流す左派の情緒的議論にも手加減無用。本書の邦題は実に秀逸だ。まさに資本主義が嫌いな人こそ、ちゃんと経済学を学ぼう。実は、嫌いな部分を考えるヒントは既存の経済学でかなり議論されているんだから。それが本書の中心的な主張だ。

書き方や主張は実にストレートだ。個人的には「ヤバイ経済学」批判など少し異論もあるが、主張はおおむね納得できる。経済学者が書いたら、上から目線で無知な大衆に説教するような嫌みな本になりがちだが、それもない。

ただし内容的にはちょっと高度で、十分な理解には経済学について多少の予備知識はいる。また前半/後半で投げ出さず、是非とも全体をバランスよく読んでほしい。特に左派の読者は、ミイラ取りがミイラになったと思うかもしれない。資本主義だの合理的個人だのをかなり擁護する本だから。でも表面的な好き嫌いだけでそれを否定するだけでは前に進めないのだ。本書をきっかけに、それに気がつく人が一人でも増えてくれれば……


書評備忘。
引用元は山形浩生「経済のトリセツ」から。

本職とも関係するので、ぜひ読みたい/読むべき本。





2012年8月19日日曜日

『愛の勝利を ムッソリーニを愛した女』、四方田犬彦評


朝日新聞 GLOBE 2011年 6/5-18
Cinema Critiques [映画クロスレビュー]

『愛の勝利を』

ムソリーニの愛人。存在をかけた愛と悲劇

――みどころ――
イタリアの独裁者となるムソリーニ(フィリッポ・ティーミ) に尽くした女性、イーダ・ダルセル(ジョヴァンナ・メッゾジョルノ)の物語。ムソリーニは妻子ある身だったが、イーダと落ちる。彼女は財産をなげうってムソリーニの政治闘争を支え、息子(ティーミの二役)も授かった。だが、国家統帥となったムソリーニは、イーダの存在を消そうと、書類を改ざんし、精神科病院の閉鎖病棟に送り込む。愛の真実を訴え、彼女はひとり立ち向カう。監督マルコ・ベロッキオが資料映像などを織り交ぜながら、ひとりの女性の史実を掘り起こす。全米批評家協会賞主演女優賞受賞。
(東京で公開中。全国で願次公開)

四方田犬彦 (評価)☆☆☆☆☆(最高)
これは懲罰と監禁をめぐる痛ましい物語である。ベロッキオ監督は1960年代末に詩人パゾリーニに激賞されて以来、一貫して狂気と抑圧という主題を取りあげてきた。そして、日本と同じくポスト・ファシズム体制を生きるイタリアで、同時代の不幸なテロリズムの顛末(てんまつ)を見据えてきた。その彼がムソリーニの傍らで生きた(そして殺害された)女性を描いた。精神病院なる機関がいかに人間の自由を蝕(むしば)み、全体主義国家において牢獄の代用物であったかは、旧ソ連で実証されている。この忌まわしい制度を近年全廃したイタリアでこそ、この作品は制作が可能であった。日本にこのような敢督はいるのだろうか。


1年以上前の新聞から。

敬愛する四方田犬彦氏の評が掲載されていたので切り抜いていた。
素直に面白そうな映画だと思う。
すでにDVD化されてるみたいなので、機会があれば観たい。

しかし、Amazonのレビュー、2人が正反対の評価をしていて興味深い。
それだけ人の感情を揺さぶる映画なのでしょう。




2012年8月18日土曜日

金融円滑化法 中小企業、活用しても経営難

朝日新聞、2012年8月9日朝刊

金融危機で資金ぐりが苦しくなった中小企業の借金返済を先延ばしする金融円滑化法が、来年3月末で期限切れになる。
一時的には助かっても、経営を立て直すことができず、倒産する企業が増えている。

* 金融円滑化法
2009年12月に施行。元本の返済を待ってほしいといった要請が中小企業などからあったとき、それに応じる努力義務を金融機関に課している。
当初は11年3月までの時限立法だったが、2回延長された。

岡山市で、住宅の地盤工事を行う中小企業が2010年春、金融円滑化法を利用して、借金の返済猶予を金融機関に求めた。
08年のリーマン・ショック後、住宅着工件数が半減し、資金ぐりが悪くなったためだ。
地方銀行や信用金庫からの借金は計6千万円。金融機関は返済猶予に応じてくれた。
金融機関は、仮に融資が焦げ付いても、信用保証協会が損を肩代わりしてくれる制度を活用。自分たちの負担はほとんど発生しないので気前がよかった。月々200万円だった返済額は一気に10万円に滅った。「売り上げが確保できれば、まだやれる」。社長(64)は再起に向け、営業を強化。営業所を独立採算制に変え、社員のやる気も引きだそうとした。

ところが、夢はあっけなく打ち砕かれた。

岡山県内はライバル企業が多く、たたき合いで工事単価は2割下がった。
一方、材料費は2倍近くに上がり、赤字受注が続いた。
負債は1億6千万円に膨らみ、再建を断念。昨秋、破産を申し立てた。

国民負担も増加

金融庁によると、返務猶予してもらった中小企業は全国で30万~40万。
信用調査会社の帝国データバンクは8日、円滑化法を活用した中小企業の7月の倒産が前年同月の2.4倍の41件に急増し、過去最多になったと発表。
返済猶予が、一時的な延命策にすぎなかったことが表面化してきているのだ。
倒産が増えれば、国民負担も増える。金融機関の焦げ付きを、全国の信用保証協会が肩代わりする費用として、すでに計4兆8千億円(08~11年度)の国費が使われた。
政府内には、12年度も1兆円前後の税金投入が避けられないとの声がでている。    
(松田史朗)

「地域経済は深刻な疲弊のもとにある。
こうしたなかでの大増税は、国民の暮らしに計り知れない打撃を与える」。
長野県坂城町議会は6月、野田佳彦首相らに消費増税撤回を求める意見曹を全会一致で決めた。
意見書を出すよう陳情した宮坂富雄さん(65)は隣の千曲市で電器店を営む。
昨夏に地上デジタル放送になってから薄型テレビのブームが終わり、売上高は一時、半分以下に落ちた。
商店街では「増税後も商売が続けられるだろうか」と不安を言い合うことが多い。
長野県商工団体連合会によると、6月末までに県内77市町村のうち30近い議会が増税反対の意見書を可決した。
全国では、神縄県名護市議会、岩手県議会などで可決が続いている。

宮坂さんは「増税されれば、輸出をする大企業だけが残り、地域の中小零細企業はつぶれかねない」と心配する。大企業が集まる東京や大阪など大都市に比べて地方は所得が低く、消費増税で消費が大きく落ち込むおそれがあるからだ。

内閣府の県民経済計算では、一人あたりの年間所得は2009年度、東京都が391万円で最も多く、高知県が半分ほどの202万円で最も少なかった。
11年の県庁所在地ごとの物価指数は横浜市の107.1が最も高く、宮崎市の96.7が最も低いなど地方は物価が安いが、大都市圏との所得格差ははるかに大きい。
所得が低い人は食料品など生活必需品にお金を使う割合が高い。一方、消費税は生活必需品にも同じようにかかるので、所得が低い人ほど負担感が強い「逆進性」がある。つまり、消費増税すれば、地方に住む人ほど負担が増し、くらしが厳しくなるのだ。
地方では今、円高が進んで企業が工場をアジアなど海外に移したり、園内生産を縮小したりしている。

日産自動車は小型車マーチの生産を10年に日本からタイに移した。
ソニーは、栃木、福島県の計3事業所でしていたリチウムイオン電池の組み立てを、来年度末までに中国とシンガポールの工場に移す予定だ。
大企業の工場は他の職場より給料がいい。これらがなくなれば、地方の所得水準はさらに下がり、働く場も減る。こうした地方の疲弊に消費増税が追い打ちをかける。
「増税の必要性は理解するが、(物価が下がり続ける)デフレ下では瀕死の地方経済に致命的な打撃を与えるととになる」。
参院の特別委員会が1日に字都宮市で開いた地方公聴会で、大市木材店(字都宮市)の大塚泰史代表取締役はこう訴えた。

(大日向寛文、松精祐子)


本職備忘。
地方経済の不振を伝えるため、
金融円滑法と消費税の増税が同じ囲み記事で取り上げられてる。


2012年8月17日金曜日

『天才柳沢教授の生活』(33)、山下和美


新刊購入。


昨日の『夏目友人帳』と同様、ずっと新刊を買い続けているマンガ。

最初立ち読みしたと時は、主人公の柳沢教授のキャラクターが
なんとなくステレオタイプな「大学教授」として描かれてるように
感じられたから敬遠してました。
が、その後友人から
「もっとちゃんと読め。これは読むに値するマンガだ」
との忠告を受けたので読み直したところ
(人から言われたことには素直なところが自分のいいところだと思う)、
そのすばらしさに開眼。
以後新刊を買い続けている。

『夏目友人帳』と同様、夫婦で楽しめるマンガ。



2012年8月16日木曜日

『夏目友人帳』(14)、緑川ゆき


新刊購入。


妻が買い続けているマンガ。
ずっと新刊を買い続けてるけど、
期待を裏切られたことは一度もない。
「このマンガ、面白いな~」と思ってたら、
いつのまにかアニメ化してた。
みんな面白いものには敏感なんだな。

このマンガ、白泉社、「花とゆめ」コミックスの装丁で、
思いっきり少女漫画のコーナーに置いてあるから、
妻が買ってこなければ手にしなかったと思う。
その意味で妻には感謝。